人権擁護委員会

委員長 阪本 康文 副委員長 岩橋 幸誠
戸村 祥子

1 当委員会について

当委員会は、「人権侵犯事件について調査をなし、本会に対し人権救済のための適切な処置をとるよう意見具申し、その他基本的人権を擁護するため必要な活動を行うことを職務とする」(会則第47条)委員会です。弁護士法は、弁護士の使命として、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」(第1条第1項)と規定していますが、まさにその弁護士の使命に基づいた、弁護士会の中心的委員会であると言えます。

具体的には、当弁護士会に人権侵犯救済申立があった事件等につき、当委員会において調査し、人権侵害の程度に応じて警告、勧告、要望などの決定を行い、また、人権の回復や被害の救済のための助言や協力等適切な措置をとります。

2 様々な課題について

このほか当委員会では、人権に関わる様々な課題について調査研究などを行い、必要な意見を公表するなどの行動をしています。日本弁護士連合会の呼びかけに応えて、「全国一斉労働相談ホットライン」「暮らしとこころの相談会」などの相談活動にも取り組んでいます。特に昨年は、優生保護法の下で行われた強制不妊手術の問題が社会的に注目されたことから「優生保護法ホットライン」も行いました。

また、和歌山県は、2014年6月、和歌山県安全・安心まちづくり条例を改正し、県民に対し、「県民の安全で安心な暮らしを害するおそれのある事態の発生に関する情報」についての提供義務を課しました。しかし、こうした改正は、県民に相互監視義務を課すことにもつながりかねず、一見不審者と見えるというだけで通報されるかもしれないという不安をもたらすという点において、県民(特に障害者)のプライバシーや行動・表現の自由と抵触するおそれがあります。そこで、当委員会では、本年3月30日に、関西大学法学部教授の高作正博氏をお迎えし、「和歌山県安全・安心まちづくり条例第4条第3項~県民の通報義務~を考える」と題してシンポジウムを開催しました。

さらに、死刑問題も当委員会が取り組む課題です。死刑制度については、死刑廃止が国際的な潮流となっており、2010年12月には、国連総会において、全世界の国々に対し、死刑廃止を視野に入れて死刑の執行停止を求める決議が賛成多数で可決されました。2014年3月に死刑が確定していた袴田さんに対して、静岡地裁が再審決定を出し、改めて死刑制度の問題点が露わになりましたが、当会は、これまでも死刑執行のたびに、政府及び法務大臣に対し、死刑の執行に対して強く抗議し、死刑制度の存廃について国民的議論を尽くし、死刑制度の存廃を含む抜本的検討及び見直しを行うまでの間、死刑執行を停止することを求める会長声明を出しています。

日本弁護士連合会は、2016年10月の人権擁護大会において、死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言を採択しました。この宣言を受け、当会でもさらに議論を深めていきます。

また、貧困対策、自殺対策、和歌山刑務所視察委員会委員のバックアップなど、当委員会の活動は多岐にわたっています。

3 人権救済基金の紹介

2007年に当会に寄付いただいた遺産を原資として、人権救済基金が発足しました。

人権救済基金は、人権救済や平和と民主主義の擁護のために当会弁護士の援助を必要とする人たちに対して弁護士費用等の援助を行ったり、人権擁護・救済について顕著な活動をした個人、団体(弁護士以外の)に和歌山弁護士会人権賞を授与して顕彰するなど、人権の救済と拡充を目的とするものです。

人権活動等に取り組む市民の皆さまからの援助の申出、また、人権賞に該当すると思料される個人、団体の推薦をお願いします。