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刑事問題対策委員会

委員長 畑 純一 副委員長 赤木 俊之
久保 博之

1 委員会の目的について

刑事問題対策委員会は、弁護士が、被疑者(犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象とされている人)や被告人(検察官から刑事事件を犯したとして起訴された人)の権利を守り、充実した刑事弁護活動を行えるために必要な活動をすることを目的とする委員会です。

本年度の委員会は、ベテランから新進気鋭の若手弁護士まで30名の委員で構成される当会で最大の委員会です。

2 委員会の普段の活動について

私たちは、まず私選紹介弁護士等の斡旋や当番弁護士制度、刑事被疑者援助制度の運営にあたっています。市民からの要請に対して即応しうる体制を築いていますので、刑事事件、刑事弁護のことについては、是非、弁護士会事務局宛にご相談ください。

また、国選弁護人については、具体的な刑事事件ごとに裁判所が日本司法支援センター和歌山地方事務所に対して弁護人の候補者の推薦を依頼しますが、これに対して弁護人の候補者となる弁護士を迅速的確に推薦する業務を行っています。

更に、当委員会は各弁護士が被疑者や被告人のために充実した活動をすることができるように、研修会や経験交流会などを行ったり、弁護活動に必要な環境の確保のための活動、時には弁護人に対するバックアップ体制の構築などの活動を行っています。

当委員会は、大多数の会員の協力を得ながら、かつ、裁判所、検察庁、警察その他の関係機関と連絡を取りながら、日常的に以上の活動を行っています。

3 本年度の課題について

以上に加えて、本年度に取り組むべき課題のうちの重点課題を整理すると次のとおりです。

@被疑者国選体制の一層の充実のために

2009年5月21日から始まった被疑者国選弁護制度の第2段階と裁判員制度は開始後満2年を迎えます。

これまで紀南地域の会員のご協力を得て休日の私選紹介弁護士及び当番弁護士の体制を充実させるとともに、弁護人選任体制の合理化などに取り組んできました。

昨年から裁判員裁判対象事件を中心に被害者が逮捕された段階で逮捕された被疑者に弁護士を派遣し、国選弁護人が速やかに選任されるよう適切な助言をするなどの活動を開始していますが、今年度も一層取り組みを進めたいと思っています。

また、昨年にも増して、刑事弁護を担う会員のニーズに即応した研修会や経験交流会を重ねて、弁護の質の向上に取り組んで行きたいと考えています。

A弁護活動環境等の改善のために

被疑者国選第2段階になった現在でも、和歌山県内の各警察署には和歌山西警察署を除いて接見室がひとつずつしかありません。弁護士以外との一般の接見との共用となっているため、せっかく弁護士が接見に行っても接見室が混み合って使えないために被疑者や被告人と会って打ち合わせができないこともたくさん発生してきています。また、検察庁には接見室がなく、違法な状態であるとさえ言えます。

また、被疑者国選対象事件であっても、またそれが裁判員裁判対象事件であったとしても、国選弁護人が選任されるためには資力が乏しい等の要件に加えて本人の「請求」が必要です。しかし、警察官、検察官、時には裁判官の説明が不十分であるために、被疑者が弁護人の選任を請求しない状態が続くことも多発しています。今後は、こうした説明のあり方などもきめ細かく協議していくなどして弁護人選任権が実質的に保障されるようにしてしていく必要があります。

また、弁護人と被疑者被告人の間で速やかに書類などをやりとりできるような環境を確保することなど接見交通権の基本に関わる事項について改善を図っていきたいと考えています。

B可視化実現等の課題実現のために

密室での自白強要などえん罪の温床となる捜査のあり方が問われて久しいですが、今も、こうした密室での自白の強要によって無実の人が罪を負わされ、また人権が侵害され続けています。

そこで、全取調過程を録画する取調過程の可視化は喫緊の課題です。 権利保釈の原則的な運用などとともにこうした全国的な課題に取り組んでいく必要があります。

C裁判員法等の改正等に向けて

これらは、法律により施行後の運用を踏まえた3年後の見直しが予定されており、今年がその時期にあたります。

裁判員法については、被告人が裁判員裁判による裁判を希望する場合にのみ裁判員裁判にするべきではないか、合理的な疑いを超えるということで有罪の判決を下すためには裁判員全員一致での判決にするべきではないか、裁判官が3人に対して裁判員が6人しかいないのでは裁判員が自由に意見を言いにくいので裁判員の人数を増やすべきではないかなどの議論を深めていく必要があります。

また、裁判員裁判の前に行われる公判前整理手続の中で被告人の主張が制限されたり証拠が制限されたりする問題、又は身体拘束が不必要に長くなってしまう問題なども課題です。

更に、和歌山では田辺支部での裁判員裁判の実施も次の課題です。

私たちは、実務上の問題点の改善の努力をする一方で、次の立法のために必要な情報の収集と意見の交換などに取り組んでいく必要があります。

4 これらの課題を担う刑事問題対策委員会の体制について

 本年度も課題は山積していますが、当委員会は、こうした課題を遂行していくため、昨年度から委員会内に法制度部会(長井健一部会長)、実務研修部会(月山純典部会長)、広報部会(藤井友彦部会長)を設け、それぞれ定例的に会議を開催しながら活動を進めています。そして、正副委員長及び各部会の部会長、裁判員裁判対策本部本部長代行などで開催される拡大正副委員長会議の定例開催も定着しました。

当委員会は、執行部、関連委員会、及び全会員のご協力を得て、より充実した刑事弁護体制の構築と迅速適切な権利擁護活動の提供のため、一層強力に取り組んでいきたいと考えています。