災害対策委員会 2018年(平成30年)度

委員長 九鬼 周平 副委員長 柳川 正剛

1 委員会の設置目的

(1)当委員会は、平成24年度に発足した災害対策マニュアル作成プロジェクトチーム(PT)を前身として、その3年後の平成27年度に委員会として設置されました。
政府の地震調査委員会は、平成30年2月、南海トラフ地震が今後30年の間に発生する確率が70~80%に高まったと発表しました。しかも和歌山県の紀南地域においては、わずか数分で津波が到達する地域もあるとされています。和歌山県では、このように将来発生することが確実視されている南海トラフ地震のほか、平成23年に紀伊半島大水害が発生したように、大規模な台風被害に見舞われることも決して珍しくありません。
また、平成28年4月に断層型の熊本地震が発生しましたが、和歌山県北部の紀の川流域沿いには、中央構造線断層帯という活断層が存在しています。
そこで当会では、このような南海トラフ地震や断層型地震、台風などによる大規模災害に見舞われた場合における、弁護士会内部の対応マニュアルを作成すべく、上記PTを発足させました。

(2)そして、同PTにおける3年間の協議・検討を経て、「災害対応マニュアル」を完成させたことを受け、翌年の平成27年度、上記のような大規模災害の際に様々発生する法的ニーズに対応し活動することにより、弁護士会として、被災者の支援や被災地の復興に向けた活動等を行っていくことを目的として、「災害対策委員会」が設置されました。

2 今後の活動予定

(1)当委員会の職務は、大規模災害が和歌山県内で発生した場合における当会の対応についての調査研究、災害対策マニュアルの改訂、災害時への備え、災害避難訓練の実施、災害発生時に本会災害対策本部が指示する活動、および和歌山県以外の地域で災害が発生した場合における支援活動の援助などとされています。

(2)今後予定している具体的な活動内容としては、第一に、大規模災害が発生した場合、被災者には相続・借地借家・損害賠償・二重ローンの問題など、様々な法的問題が生じることが考えられます。そのような場合に、被災者が県内各地で必要な法律相談を受け、また、弁護士会ADRによる紛争解決手続を利用できるようにするためには、県や市などの自治体と連携することが必要不可欠です。
そのため、当委員会では平成29年度より、まず、和歌山県及び和歌山市との協議を開始しており、大規模災害発生に備えた協定締結に向けて具体的な話し合いを行っています。今後、県下の各自治体と協定を締結していき、被災者の法的支援を行いうる態勢整備を行っていきたいと考えています。

(3)第二に、大規模災害が発生した場合、被災者が自治体に対して様々な情報を求めてくる可能性があります。しかし、自治体の職員が限られた人数の中で被災者への対応に追われるあまり、被災者に対して有益な支援情報を適宜に提供していくことが、極めて困難な状況となることが予想されます。
そこで、当委員会では、被災者支援情報をまとめた情報シート(「和歌山弁護士会ニュース」)をあらかじめ作成して各自治体に提供し、大規模災害が発生した際に、その情報シートを自治体の避難所予定場所に貼り出してもらうなどして、被災者への支援情報の提供の一助となるようにしたいと考えています。

(4)第三に、大規模災害は、日本全国どの地域においても発生する可能性があり、被災地弁護士会から依頼があった場合には、被災地での相談会等に会員派遣を行うといった支援活動を行う必要があります。そのため当委員会では、平成29年度、多数の弁護士から名簿登録への協力を得て「派遣弁護士候補者名簿」を整備し直し、全国の被災者支援活動に備える態勢を整備しております。
また、併せて平成29年度に、被災ローン減免制度(「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」)に基づく「登録支援専門家名簿」をも整備し、大規模災害により住宅等の被害を受けた被災者の方々について、その生活再建に向けた支援活動を行いうる態勢を整備しております。

(5)第四に、当会の弁護士の8割以上は本庁(和歌山市内)の事務所に所属していますが、紀南地域は、南海トラフ地震によってより大きな被害が生じる可能性があります。そこで、大規模災害が発生した場合に本庁と紀南地域の弁護士とで連携して活動できるよう、適宜意見交換会を行うなどして、緊密な連携を図っていきたいと考えています。

(6)第五に、大規模災害が発生した場合、弁護士会館内にいる一般市民の方々を適切に避難誘導し、かつ、同会館内の弁護士や職員ら自身も適切な避難行動を取ることが必要となります。そのため、平成27年度に、消防署員2名の立会のもと、当委員会が中心となって弁護士会館にて避難訓練を行い、通報・消火・避難誘導・負傷者の搬出等の訓練を行いました。また、それ以降も平成28年度、同29年度と毎年、当年度執行部および次年度執行部も参加し、同様に避難訓練を行いました。
この避難訓練については、今後も毎年継続していきたいと考えています。

(7)第六に、上記「災害対応マニュアル」についても、さらに検討を加えることによって内容をブラッシュアップさせ、より充実したマニュアルにしていきたいと考えています。

(8)当委員会は、設置されてからまだ丸4年も経っていない新しい委員会ですが、いざ大規模災害が発生した際に、被災者の被害回復・権利擁護と被災地の復興に向けた支援活動を行うことができるよう、今後の活動を充実させていきたいと考えています。