決議

法曹一元及び陪・参審制の実現を求める総会決議

2000年(平成12年)4月22日
和歌山弁護士会4月定期総会決議

平成11年7月に内閣に設置された司法制度改革審議会は、今、日本の司法全体に対する抜本的な改革を検討しており、本年10月ころの中間答申、来年7月ころの最終答申で、今後の日本の司法制度の骨格を打ち出そうとしている。

私たちは、現在の官僚裁判官制度から「市民による司法」への転換を図ることが日本の司法改革の最重点課題と考えており、その実現のためには法曹一元制の導入と陪・参審制の実現が不可欠と考える。

そもそも司法は、法の支配を貫徹し、国民の人権や法的利益を守るとともに、三権分立の下で立法や行政に対してチェックする役割を担っている。

かかる司法の役割からすれば、裁判官が他の機関からはもちろん、最高裁判所の人事行政からも独立して、法と良心に従った裁判が出来るような構造でなければならない。ところが、現在の裁判所は最高裁判所を頂点とする官僚裁判官制度となっており、人事行政を通じて裁判官が管理、選別され、裁判官に対する萎縮的効果が生み出されている。それが判決内容にも影を落とすとともに、裁判官が市民としての自由すら自己規制して市民社会と切り離された閉鎖的な社会の中で生活しているという実態が指摘されている。

このような市民社会と切り離された生活を送る裁判官は、裁判を受ける当事者の立場を十分に理解できず、市民常識から見て納得できない内容の訴訟指揮や判決も見られるようになっている。

そこで、私たちは、裁判官の真の独立を確保し、市民感覚をもった、当事者に納得できる裁判を実現するためには、市民も参加する裁判官推薦委員会が、弁護士など社会的経験を相当年数積んだ法律家の中から、多面的に検討して裁判官としての適任者を選考していく法曹一元制の導入が不可欠と考えるものである。

私たちは、弁護士に対する国民の期待に一層応えていけるよう自己改革を行うとともに、法曹一元制の下で裁判官としての適任者を必要な人数送り出す決意を固めている。

また、裁判が国民のものとなり、国民に信頼され納得できるものとなるためには、市民が陪審員となり有罪・無罪等を判断する陪審制及び市民が裁判に参加する参審制をすみやかに実現させるべきと考える。

以上のとおり、私たちは、司法改革にあたり法曹一元制の導入と陪・参審制の実現を求め、本決議をする。

以 上