声明・談話

民事法律扶助事業に対する抜本的財政措置を求める声明

平成14年6月11日
和歌山弁護士会 会長 辻本 圭三

民事法律扶助法は、国民の裁判を受ける権利を保障する制度として、平成12年10月1日、国民の期待をになって施行された。

ところが、この法律の下で、初めて1年間を通じて事業が行われた平成13年度は、その第1四半期が経過した時点で早くも資金不足が予測され、平成13年12月には、全国的にこの予測が現実のものとなった。ここ財団法人法律扶助協会和歌山県支部においても、平成14年1月には民事法律代理援助の申込受付を中止せざるを得ない状況に陥った。

そのため、財団法人法律扶助協会本部は、平成14年度の民事法律代理援助について、全国の支部に対し、四半期毎の上限枠を設定し、この枠を越える代理援助決定をしないことを決めた。

しかし、ここ和歌山県支部では、平成14年6月6日現在の第1四半期枠の残代理援助件数は、一般民事事件では3件、自己破産事件では0となったとのことであり、6月末日までの第1四半期の残数については、申込受付順で扶助決定を行い、その後は、第2四半期の7月1日まで申込、審査は行うが、扶助決定が出来ない状態になっている。

財団法人法律扶助協会は、平成13年度のような財源不足を解消するため、平成14年度の民事法律扶助事業の国庫補助金として、法務省に対し66億円の予算要望を行ったが、内閣府及び財務省の査定を受け約30億円しか認められなかった。これに償還金を加算しても、平成13年度の事件数にしか対応できず、代理援助の増加に対して今年度も前年度同様年度途中で財源不足のため全国の各支部で扶助決定ができなくなる深刻な事態が予想される。このままでは、民事法律扶助制度は、機能不全に陥り、破綻してしまうことになる。

民事法律扶助法は、事業の適正な運営の確保とその健全な発展のため必要な措置を講ずるよう努めるとの国の責務を定めている。

国は、この要請に応え、直ちに補正予算を計上するなどは勿論、民事法律扶助法の目的実現のため抜本的財政措置を講ずることを強く求めものである。