声明・談話

死刑執行に抗議する会長声明

2013年(平成25年)3月14日
和歌山弁護士会
会長 阪本 康文

本年2月21日、東京、大阪、名古屋の各拘置所において、それぞれ1名に対する死刑の執行が行われた。

当会は、既に7度にわたる会長声明によって、政府及び法務大臣に対し、死刑制度の存廃について国民的議論を尽くすまで、死刑執行を停止するよう強く求めてきた。当会は、昨年10月10日にもこのような会長声明を出したところであるが、そのわずか4か月後に死刑執行がなされたことは、きわめて遺憾である。

死刑の廃止は国際的な趨勢であり、死刑廃止条約が1989年12月15日に国連総会で採択されて以来(1991年発効)死刑廃止国は増加している。また、2010年(平成22年)12月21日には、国連総会において、全世界の国々に対し、死刑廃止を視野に入れて死刑の執行停止を行うよう求める決議が賛成多数で可決された。さらに、日本政府は、国連関係機関から繰り返し死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置を取るよう勧告を受けている。

いったんは無期懲役刑が確定していた、いわゆる「足利事件」や「布川事件」について再審裁判で無罪判決が言い渡されたことは、重大事件において、今なお冤罪が存在することを明らかにした。既に死刑が執行された者の中にも冤罪の可能性があることを完全に否定することはできない。

当会は、死刑が執行されたことに強く抗議するとともに、あらためて、政府及び法務大臣に対し、死刑制度の存廃について国民的議論を尽くし、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの間、死刑執行を停止することを求めるものである。