声明・談話

大阪刑務所丸の内拘置支所の被収容者が死亡した事態を受けて徹底した原因究明と対策を求める会長声明

2015年(平成27年)8月12日
和歌山弁護士会
会長 木村 義人

本年7月31日、和歌山市内にある大阪刑務所丸の内拘置支所(以下「丸の内拘置支所」という。)において、労役場留置となっている40歳代の男性が、壁にもたれかかるように倒れ、呼びかけにも応じない状態で発見され、病院搬送後に死亡するという事態が発生した。報道によれば、熱中症の疑いが指摘されている。

このような事態を受けて、大阪刑務所の庶務課長は、「対策に問題はなかったと考えているが、被収容者が死亡したことは誠に遺憾。今後は動静視察に加え、健康管理も徹底していきたい」と話したとのことである。

しかし、報道によれば、同日、50歳代の男性が、翌8月1日には20歳代の男性が熱中症と見られる意識のない状態で見つかったとされている。このことが事実であるとすれば、到底、「対策に問題はなかった」とはいえない。

そもそも、丸の内拘置支所収容棟のほとんどには冷房設備がなく、暑い夏場には、熱中症が発生しやすい環境にある。また、被収容者は行動の自由が大幅に制限されているため、被収容者が、個人の判断で暑さを避ける場所へ移動するなど熱中症予防のために必要な行為をとることは困難である。

拘置所は身体拘束のための施設であるが、熱中症の発生が避けられない状態において被収容者を拘束しているとすれば、それは非人道的取扱いという誹りを免れない。

当会は、丸の内拘置支所、同拘置支所を所管する大阪刑務所及び法務省矯正局に対し、再発を防止すべく直ちに万全の措置を執ることを求める。そして、被収容者が熱中症と見られる症状で死亡あるいは意識不明となった原因を徹底的に調査するとともに、その調査結果を公表することを求める。