声明・談話

安全保障関連法案の衆議院における採決の強行に抗議し、廃案を求める会長声明

2015年(平成27年)8月14日
和歌山弁護士会
会長 木村 義人

「安全保障関連法案」は、本年7月15日に衆議院特別委員会で、翌16日には衆議院本会議で、それぞれ野党の反対を押し切って採決を強行し、参議院に送付された。

当会は、本法案が日本国憲法第9条の禁じる武力の行使・交戦権の行使等を可能にする違憲の内容であること及び憲法改正手続を経ないで違憲の法律を制定することは立憲主義に反するものであることを指摘し、これまでに二度本法案の撤回・廃案を求める会長声明を出してきた。

そして、日本弁護士連合会や全国の弁護士会も本法案の成立に反対の声を上げるとともに、元内閣法制局長官や全国の大多数の憲法学者も本法案の違憲性を訴え、成立に反対している。

また、マスコミ各社の世論調査によれば、本法案についての政府の説明は不十分だという国民が8割を超え、6割の国民が今国会での法案成立に反対している。和歌山においても、7月12日に、「安保法制に反対する和歌山大集会&パレード」を当会主催にて開催したところ、和歌山城西ノ丸広場を2500人の市民が埋め尽くし、安保法案反対の声を上げた。そして、安倍総理大臣自身も、衆議院特別委員会で「まだ国民の理解が進んでいる状況ではない」と答弁した。

ところが、その安倍総理大臣の答弁直後に、与党は特別委員会及びその翌日の衆議院本会議で、本法案の採決を強行したのであり、民意を無視しているといわざるを得ない。

現在、参議院での審議が始まっているが、大多数の憲法学者が本法案が違憲であると指摘しているとおり、本法案が憲法に違反する内容であることは明らかであり、本法案は廃案にするしかない。参議院における採決の強行や、衆議院での再議決などを決して行わないよう強く求める。

当会は、本法案の衆議院における採決の強行に強く抗議し、その速やかな廃案を重ねて求めるものである。