声明・談話

安全保障関連法案の採決に抗議する会長声明

2015年(平成27年)10月16日
和歌山弁護士会
会長 木村 義人

安全保障法制関連法案は、本年9月17日に参議院特別委員会で採決が強行され、9月19日未明に参議院本会議において可決され、成立した。

当会は、同法案に反対し、これまでに3回にわたり会長声明を出し、法案の撤回と廃案を求めてきた。

当会が反対した理由の第1は、本法案が、日本国憲法第9条が禁じている集団的自衛権行使や自衛隊が海外で武力行使することを可能にするからである。

第2の理由は、憲法改正手続を経ないで、政府が憲法違反の法案を国会に上程し、国会議員が違憲の法律を制定して憲法の内容を実質的に変えてゆくことは、立憲主義及び国民主権原理に反するからである。

本法案に対して、圧倒的多数の憲法学者、元内閣法制局長官、元最高裁判所長官や元最高裁判事を含む多数の元裁判官及び日弁連をはじめ、すべての弁護士会が憲法違反であるとの意見を表明している。また、各種マスコミによる世論調査結果によれば、約6割の国民が「今国会で成立させる必要はない」とし、約8割の国民が「国会での議論は尽くされていない」としている。さらに、連日国会を取り囲む数万の反対の声、7月12日に当会主催で開催の和歌山での2500人の集会をはじめ、全国各地での集会やパレードで反対の意思が示されている。これら多数の国民の意見を押し切って、国会で本法案の採決を強行したことは許されるものではない。

当会は、安全保障法制関連法案の採決に抗議し、憲法違反の同法律の廃止のために活動を続けるとともに、今後とも立憲主義と日本国憲法の基本原理である恒久平和主義、国民主権と基本的人権を守るための取り組みに一層尽力してゆく所存である。