声明・談話

死刑執行に抗議し、死刑執行の停止を求める会長声明

2017年(平成29年)4月28日
和歌山弁護士会
会長 畑 純一

平成28年11年11日、福岡拘置所において、1名に対する死刑が執行された。

平成28年3月25日、大阪拘置所及び福岡拘置所において、それぞれ1名の死刑が執行されてから、7ケ月あまりでの死刑執行となる。今回の執行は、第二次安倍内閣以降10回目であり、合計17名もの死刑が執行されたことになる。

死刑廃止は国際的な趨勢であり、世界で死刑を廃止または停止している国は、140か国に上っている。死刑を存置している国は58か国であるが、平成26年に実際に死刑を執行した国は、日本を含め22か国であった。いわゆる先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国(34か国)の中で死刑制度を存置している国は、日本・韓国・米国の3か国のみであるが、韓国は17年以上にわたって死刑の執行を停止し、米国の19州は死刑を廃止しており、死刑を国家として統一して執行しているのは日本のみである。こうした状況を受け、日本は、国際人権(自由権)規約委員会、拷問禁止委員会や人権理事会から、死刑の廃止を前向きに検討するべきであること等の勧告を再三受けている。

確かに、悲惨な犯罪の被害者・遺族にとって、決して許すことのできない犯罪者への厳罰の思いがあることもごく自然なことである。

しかし、死刑は、人間の尊い生命を奪う不可逆的な刑罰であり、誤判の場合には取り返しのつかない刑罰であるという問題点を内包している。

当会は、これまでの死刑執行に対しても強く抗議してきたところであるが、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、あらためて政府及び法務大臣に対し、死刑に関する情報を広く国民に公開し、犯罪抑止効果、被害者遺族の感情を含め、死刑制度の存廃について全社会的議論を尽くし、死刑制度の廃止を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの間、死刑執行を停止することを求めるものである。