声明・談話

死刑執行に抗議し、死刑執行の停止を強く求める会長声明

2017年(平成29年)8月10日
和歌山弁護士会
会長 畑 純一

本年7月13日、大阪拘置所と広島拘置所において各1名の死刑が執行された。

昨年11月11日以来金田勝年法務大臣による2回目の執行であり、第二次安倍内閣発足以降11回目で、合計19名もの死刑が執行されたことになる。

当会は、本年4月28日に発表した会長声明を始めとして、これまで幾度となく、政府及び法務大臣に対し、死刑制度の存廃について国民的議論を尽くすまで、死刑執行を停止するよう強く求めてきた。それにもかかわらず、今回死刑執行がなされたことは、極めて遺憾である。

袴田巖氏の第2次再審請求事件について、2014年(平成26年)3月静岡地裁が再審の開始と死刑及び拘置の執行を停止する決定をし、死刑制度のもつ根本的な問題が露わになったが、今回大阪拘置所で死刑執行された者は、無罪を主張して再審請求中であった者であり、このような執行は、到底是認出来ない。

また、広島拘置所で死刑執行された者は、裁判員裁判にて死刑を言い渡された死刑確定者である。2014年(平成26年)2月、死刑判決に関わった3名を含む約20名の裁判員経験者が法務大臣に対して、死刑の執行停止、死刑についての情報公開や国民的議論の促進を求める要望書を提出したが、政府は上記要望書に何ら応えることなく、未だに死刑に関する情報公開が不十分なまま今回の死刑を執行しており、この点でも極めて遺憾である。

死刑廃止は国際的な趨勢であり、2016年(平成28年)には、死刑廃止国(法律上の廃止国及び事実上の廃止国)が141か国にのぼっている。そして、国連総会本会議は、2016年(平成28年)12月、全ての死刑存置国に対し、死刑執行の停止を求める決議を、117か国の賛成により採択している。

かかる状況の中で、死刑が執行されたことに強く抗議するとともに、あらためて政府及び法務大臣に対し、死刑制度に関する十分な情報公開を行い、犯罪抑止効果、被害者遺族の感情を含め、死刑制度の存廃について国民的議論を尽くし、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの間、死刑執行を停止することを求めるものである。