声明・談話

死刑執行に抗議し、死刑執行の停止を求める会長声明

2018年(平成30年)10月11日
和歌山弁護士会
会長 山下 俊治

平成30年7年6日、東京、大阪、広島、福岡、各拘置所において、7名に対する死刑が執行され、同月26日、東京、名古屋、仙台、各拘置所において、6名に対する死刑が執行された。

これらの13名は、旧オウム真理教の教祖と元幹部であり、「地下鉄サリン事件」などの一連の事件の刑事裁判で死刑判決を受けていた人々である。

悲惨な犯罪の被害者・遺族にとって、決して許すことのできない犯罪者への厳罰の思いがあることはごく自然なことである。それゆえ、犯罪被害者・遺族への支援について、その制度の改善・向上をさらに図るべき必要があることも、自明のことである。

しかし、死刑は、人間の尊い生命を奪う不可逆的な刑罰であり、誤判の場合には取り返しのつかない刑罰であるという問題点を内包している。これは揺るぎもない事実である。

当会は、これまで、再三死刑執行に抗議する声明を公表し、死刑執行の停止とともに死刑制度についての全社会的議論の場を設けること等を求めていたものであり、それゆえ、今回の一斉かつ多数人の死刑執行は極めて遺憾であり、日本という国家が人命を軽視していると言わざるを得ない。

当会は、これまでの死刑執行に対しても強く抗議してきたところであるが、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、あらためて政府及び法務大臣に対し、死刑に関する情報を広く国民に公開し、犯罪抑止効果、被害者遺族の感情を含め、死刑制度の存廃について全社会的議論を尽くし、死刑制度の廃止を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの間、死刑執行を停止することを求めるものである。