民事介入暴力及び非弁護士活動対策委員会

委員長 和田  篤 副委員長 上岡 勇介
手拝 誓哉

1 当委員会について

当委員会は、民事介入暴力対策と非弁護士活動対策、さらには弁護士に対する業務妨害対策を取り扱っています。以下、それぞれの活動内容について述べます。

(1) 民事介入暴力対策

当委員会では、暴力団をはじめとする反社会的勢力による不当要求を排除するなど市民が安心して生活を送ることができるよう、和歌山県警察や公益財団法人和歌山県暴力追放県民センターと連携しながら、様々な活動を行っています。

一例を挙げると、和歌山県内で開催される暴力追放県民・市民大会や各業界団体で開催される協議会等での講演など、反社会的勢力による不当要求行為への対策や、取引や組織からの反社会的勢力排除に向けた啓蒙、支援活動を継続的に行っています。

また、実際に反社会的勢力による被害が発生した場合には、委員有志の弁護士による弁護団を結成して、被害者の代理人として被害回復のために訴訟を提起するなどの具体的方策も講じています。

過去には、近隣住民からの依頼を受けて暴力団組事務所の使用差止のための仮処分申請を行い、組事務所の使用を差し止めたり、組員による恐喝被害を受けた被害者から委任を受け、当該組員の所属する暴力団の組長に対してその使用者責任を問う損害賠償請求訴訟を提起し、大部分の被害回復を実現しました。

さらに、近時は、暴力団の潜在化に伴い、暴力団に属しているか否かという属性のみならず、行為態様にも着目した対策の必要性が活発に議論されるようになっています。また、特殊詐欺の背後に存在する暴力団に目を向け、暴力団対策法に基づき組長責任を問う訴訟なども行われています。

昨年度は、警察、暴力追放県民センターと共同で、特殊詐欺事案等における暴対法に基づく組長責任追及訴訟に関する研修会を開催したり、検察庁との間で特殊詐欺被害の回復に向けた意見交換会を実施するなど、積極的な活動に取り組みました。

(2) 非弁護士活動対策

当委員会では、市民が安心して良質なリーガルサービスを受けられるようにし、ひいては司法制度に対する市民の信頼を確保するために、無資格で法律事務の処理を行ういわゆる事件屋を排除したり、権限に制約のある司法書士や行政書士などの有資格者が権限外の法律事務を行っていないか監視しています。そして、そのような活動が疑われる場合には、調査の実施や文書での警告、悪質なものついては刑事告発を行うなどの対策を講じています。

また、弁護士でない者が、権限がないにもかかわらず債務整理や相続などの法的紛争に介入し、不適切な事務処理によって依頼者に被害が生じた場合、被害者からの依頼を受けて、委員有志の弁護士による弁護団を結成し、民事上の手続を講じて被害救済を図ることもあります。最近では、杜撰な債務整理を行いながら依頼者から報酬名目で高額の金員を徴収した司法書士に対して損害賠償請求訴訟を提起し、最高裁で勝訴判決を得て、被害者の救済を図りました(最高裁平成28年6月27日判決)。

この判決は、市民に良質なリーガルサービスを提供するという観点から、全国的にも高い評価を受けています。

(3) 弁護士業務妨害対策

弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としますが、これらは個別事件の解決を通して実現されます。弁護士業務妨害は、弁護士の職責に対する妨害行為であり、ひいては基本的人権の擁護と社会正義の実現が脅かされることになります。

当委員会は、弁護士に対する業務妨害が行われた場合に、妨害を受けた弁護士を支援するなどして、弁護士の職責を全うし、市民の権利利益が損なわれることがないよう活動しています。

2 さいごに

当委員会では、今後も上記のような民事介入暴力対策、非弁護士活動対策及び弁護士業務妨害対策を通じて、市民の権利利益の擁護を図っていく所存です。