司法制度調査対策委員会

委員長 池本 泰智 副委員長 上岡 美穂
和田  篤

1 司法制度調査対策委員会について

当委員会は、健全な司法制度の確立と適正な司法の運用を目的として、調査研究や必要な対策を立案し、実施するために設置された委員会です。

2 活動内容について

(1) 地域司法の充実に向けた取組み

和歌山弁護士会は、2012年(平成24年)10月に第2次和歌山地域司法計画を公表しましたが、当委員会もその策定に関与し、御坊支部に裁判官が常駐していないといった各支部の現状や問題点、裁判所の物的・人的資源の大幅な拡充の必要性、伊都橋本地域への支部新設の必要性など、和歌山の司法の現状と課題を提示しました。

当委員会は、この第2次地域司法計画を踏まえ、上記の点を中心に市民に利用しやすい司法制度の確立に向けて、地域司法の充実に向けた取組みを継続的に行っております。

特に、伊都橋本地域への支部新設については、当委員会が中心となって、2015年(平成27年)9月、和歌山弁護士会に「伊都橋本地域における地家裁支部設置推進本部」を設置し、2016年(平成28年)9月24日には、日本弁護士連合会との共催で、橋本市内において「地域司法キャラバン」というシンポジウムを開催致しました。また、2017年(平成29年)には、橋本市及び伊都郡内の3町の議会との連携の結果、伊都・橋本地域に地方・家庭裁判所支部を設置すること等を求める意見書が採択されました。2019年(令和元年)には、地元住民の皆様に、地方・家庭裁判所支部の設置の意義を理解して頂けるよう、パンフレットを作成・配布するとともに、橋本市のお祭りであるサマーボールにブースを出展してこの問題の周知をし、2021年(令和3年)には上記橋本市及び伊都橋本郡内の3町の行政及び議会担当者と意見交換会を行いました。

今後、さらに地元住民の司法に対する理解を深められるような諸活動を進める予定です。

(2) 裁判所委員会のバックアップ

裁判所運営について広く国民の意見等を反映するという目的のもとに、和歌山地方・家庭裁判所に地方裁判所委員会と家庭裁判所委員会が設置され、一般市民から選ばれた市民委員も交えた委員会が開催されています。

市民の意見を適切に反映するために、当委員会では、市民委員と弁護士委員の意見交換会を定期的に行うなど、そのバックアップのための活動を行っております。

(3) 裁判官制度についての対応

現在、下級裁判所裁判官の指名過程の透明性を高め、国民の意見を反映させるため、最高裁判所の諮問機関として、下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置されています。また、平成16年4月から、人事評価の透明性・客観性を確保するため、人事評価に当たって、裁判所外部からの情報についても配慮されるものとされるようになりました。

これらの制度が有効に機能するためには、法曹三者の中では最も市民に近い位置で執務する弁護士が多くの意見を提出することが適切であると考えられます。当委員会では、これらの制度が有効に機能するために様々な工夫をしております。

(4) 裁判手続きのIT化に関する対応

現在、民事訴訟に関する裁判手続きのIT化が急速に進められています。裁判手続きのIT化とは、「3つのe」すなわち、「e提出(訴状や証拠などのオンライン提出等)」、「e事件管理(主張や証拠へのオンラインアクセス)」、「e法廷(web会議等の導入・拡大、活用)」を主な内容としており、①現行法の下でのweb会議等の活用(フェーズ1)、②新法に基づく弁論・争点整理等の運用(フェーズ2)、③オンラインでの申立て等の運用(フェーズ3)の3段階に分けて進められることとなっています。

現在、和歌山を含む全国各地の地裁本庁・支部にて、フェーズ1がすでに導入され、改正民事訴訟法に基づく運用も順次実施される他、民事裁判書類電子提出システム(mints)の運用が、2023年(令和5年)より順次開始され、和歌山を含む全国の地裁・支部でも同年中に運用開始されるところ、当委員会においてもIT化に関する必要な情報を収集するとともに、今後の裁判手続きのIT化及びこれにまつわる法制度の変化が、裁判を受ける権利に対する配慮や地域の実情も踏まえた全ての人にとって利用しやすいものとなっているかについて、当委員会で継続的に検討し、必要な対応を行っていきます。

(5) 各種法律改正に対する対応

その他、毎年、各種の法律改正が行われておりますが、当委員会においては、随時、これらの法律改正に対する対応を行っております。