子どもの権利委員会

委員長 芝野 友樹 副委員長 土井 智也
伊藤 あすみ

1 当委員会について

当委員会は、子どもの権利の保障と拡充を目的とする委員会です。

子どもの人権救済に必要な諸活動、子どもの人権保障確立のための調査・研究・提言等の諸活動、少年法等の子どもに関する法令の制定・改廃などに関する調査・研究・研修、さらには少年事件における付添人活動に関する活動などを行っています。

2 活動報告

当委員会では、家庭裁判所等の関係機関との懇談会の実施や、少年事件での付添人活動に関する研修会の開催などを定期的に行っています。また、さらなる付添人活動の充実のため、少年友の会との連携も図っています。

平成22年4月からは、少年鑑別所等で身体拘束を受けた少年を対象に、無料で弁護士を派遣する当番付添人制度を発足させ、その運用にあたっています。

また、平成6年に和歌山弁護士会初のシンポジウム「子どもの権利条約と学校生活」を開催して以来、「いじめ問題」(平成8年)、「児童虐待」(平成10年)、「少年法改正」(平成11年)、「DVと子どもの人権」(平成15年)、「児童虐待防止シンポジウム」(平成17年)、「子どもの人権を考える集い」(平成19年)、「子どものための児童養護施設を考える」(平成23年)、「子どもシェルターるーも開所記念シンポジウム」(平成25年度)、「実りある面会交流」(平成28年度)など、その時々で重要な課題に取り組むためのシンポジウムを開催してきました。本年度は、現在の子どもたちを取り巻く状況とインターネットに関連する問題をテーマにシンポジウムを開催する予定で準備しています。

さらに、平成29年5月からは、子どもらから無料で電話相談を受ける常設のこども電話相談事業を開始し、弁護士が直接、悩みを抱えた子どもらからの相談に乗っています。

3 今後の活動について

平成25年に特定非営利活動法人子どもセンター「るーも」が子どもシェルターを設置してから、弁護士会が子ども担当弁護士の名簿を整備・提供しているところ、引き続き子ども担当弁護士を十分に確保し、支援できるよう体制を整備していきます。

また、平成26年4月に少年法の改正により国選付添人制度が拡充され、当会でも、円滑な運用が出来るよう制度の整備を行ったところですが、引き続き国選付添人制度の運用・体制の改善を行っていく予定です。

さらに、無戸籍者問題を迅速かつ適切に解消するため、関係機関と連携するとともに、体制の整備も行っていきます。

文部科学省は、平成29年度より「いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究」を開始し、令和元年9月24日に全国にスクールロイヤーを配置する方針であることを公表しています。当委員会としても、スクールロイヤーの制度化、活用の促進に取り組み、学校や県市町村教育委員会、SC(スクールカウンセラー)、SSW(スクールソーシャルワーカー)とも連携し、学校における子どもの権利擁護に取り組んでいきます。

2022年4月1日に改正少年法が施行となりました。18歳、19歳の者が特定少年として少年法の適用を受けることとなった一方で、従前の少年法とは異なる規定が設けられました。当委員会では、関係機関に対し、18歳、19歳の者に対しても、少年法の「健全育成の理念」(少年法1条)に基づき、「類型的に未だ十分に成熟しておらず、成長発達途上にあって可塑性を有する存在」として取り扱われるよう運用されることを求めるなどの取組みを行っていきます。

これらに限らず、子どもの人権問題について取り組む予定です。今後とも、ご支援ご協力をよろしくお願い致します。