高齢者・障害者支援センター運営委員会
委員長 | 堀江 佳史 | 副委員長 | 太田 達也 浅野 美穂 伊藤 あすみ |
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1 和歌山弁護士会の活動
和歌山弁護士会には「和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センター」(以下「支援センター」といいます)が設置されており、当委員会は、支援センターの運営を担当しています。高齢者・障害者の権利の確立と自立の支援等を目的として、主に次の活動をしています。
- (1) 高齢者の財産管理を行う弁護士(支援弁護士)の紹介並びにその指導・監督等
- (2) 家庭裁判所への成年後見人等の候補者の推薦
- (3) 高齢者・障害者のための専門法律相談
- (4) 「高齢者・障害者虐待対応専門職チーム」の派遣・運営
- (5) 「障害者なんでもADR」の運営・広報
- (6) 「高齢者・障がい者あんしん電話相談」の運営・広報
- (7) 会員に対する研修の実施
- (8) 関連団体等との協働
2 活動報告
支援センターは、和歌山県社会福祉士会との協働による高齢者・障害者虐待対応相談、和歌山県からの委託により、障害者のための法律相談や高齢者・障害者虐待防止専門職相談も実施しています。
また、支援センターでは、高齢者や障害者から弁護士へのアクセス改善を図るべく、和歌山県内にお住まいの高齢者・障害者ご本人、その家族や生活支援者のための無料電話相談事業「高齢者・障がい者あんしん電話相談」(073-425-4165 )を実施しています。
日弁連が平成30年から令和2年を除いて毎年、障害年金に特化した電話相談として、全国一斉障害年金法律相談会を実施しているところ、支援センターでもこれに協力をしている他、令和5年度には、和歌山県独自に精神科病院をお借りして対面での障害年金の法律相談会を実施しました。
その他、支援センターは、「弁護士ホッと電話相談」と名付けて、令和3年度から精神科病棟に入院されている方を対象とした電話相談会を実施しています。今年度もこれを継続し、今後も精神科病院に入院中の方の権利擁護に努める所存です。
支援センターでは、社会福祉士会と協力して、「高齢者・障害者虐待対応専門職チーム」を実施しています。これは、市町村等が行う高齢者・障害者虐待等に関するケース検討会議などの場に、専門的な知識を持った弁護士と社会福祉士をペアで派遣し、助言を行う仕組みです。市町村等からの依頼を受け、ケース検討会議等に速やかに「高齢者・障害者虐待対応専門職チーム」を派遣することで、高齢者や障害者に対する虐待等の困難事案に対して、迅速かつ適切な解決に向けた助言を行っています。
また、支援センターでは、平成28年4月に障害者差別解消法が施行されたことを受け、当会ADR委員会と連携して、差別問題を含め障害者に関する様々な問題を柔軟に解決するための仕組みとして、「障害者なんでもADR」を実施しています。「障害者なんでもADR」では、弁護士や社会福祉士があっせん人となり、障害のある人と事業者、行政機関等との間の個別紛争を解決するお手伝いをしています。令和6年4月から、障害者に対する合理的配慮の提供を民間の事業者にも義務づける、障害者差別解消法の改正法が施行されており、共生社会の実現に向けて更に「障害者なんでもADR」が活用されることが期待されます。
平成28年に成年後見制度利用促進法が施行され、これに基づき、平成29年には成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定され、令和3年度までに第一期計画が進められました。そして、令和4年3月25日、新たに第二期成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定され、権利擁護支援の一環として成年後見制度の利用促進を推進することが明確化されました。支援センターは、和歌山家庭裁判所及び関連自治体や他の専門職団体と、密に連携を図り、成年後見制度の利用促進に取り組むとともに、高齢者や障害者の権利擁護支援の推進に取り組んで参りました。
令和3年度からは、自治体において成年後見制度利用促進にかかるアドバイザー派遣事業の整備が進められており、当委員会からもアドバイザーを推薦しています。
今後、成年後見制度にかかる民法及び関連の福祉法制の改正も視野に入れた議論がなされることが見込まれており、支援センターは積極的に議論をリードするとともに、その普及に努める所存です。その一環で、令和6年7月19日(金)には、橋本市でシンポジウム「意思決定に困難を抱えた人たちを地域においてどう支えるべきか~家庭裁判所及び弁護士の関わり方を含めて~」(仮題)を実施する予定です。
(5) 令和6年度も、上記「高齢者・障害者虐待対応専門職チーム」、「障害者なんでもADR」及び「高齢者・障がい者あんしん電話相談」のさらなる利用促進策を講じるのはもちろんのこと、高齢者や障害者の権利擁護のため、行政、社会福祉協議会、地域包括支援センター、社会福祉士会その他関連諸団体とも連携し、主体的役割を担っていく所存です。