紛争解決センター運営委員会

委員長 尾﨑 恒平 副委員長 宮内 貴之
松永 拓也

【紛争解決センターの業務内容について】


1 沿革

市民にとって利用しやすく、迅速で適正で納得のいく解決をめざして、和歌山弁護士会が平成25年4月に紛争解決センターを設置し、弁護士会ADRの運営を開始して、満11年が経ちました。

2 災害ADR

平成25年10月には、災害発生時のトラブルについて被災者にADRを利用してもらいやすくするために、「災害ADR」を立ち上げました。災害ADRは、申立時の手数料が無料で(通常時のADRは申立手数料1万1000円(税込)が必要です)、また、トラブルが解決したときに弁護士会にお支払いただく成立手数料についても、通常時のADRに比べて、ケースに応じて減額される仕組みになっています。

そして、平成30年12月には、当会の災害対策委員会との連携のもと、和歌山県との間で災害時の法律相談と災害ADRを主な内容とする協定を結びました。この協定によって、災害ADRを行う際、避難所など、被災者にとってできるだけ身近な場所で行うことが可能となりました。できるだけ被災者の負担を小さくして災害時のトラブル解決につなげられれば、と考えています。

さらに、令和2年11月までに県下の全市町村(30市町村)とも同様の協定を結ぶに至りました。今後も、災害対策委員会と連携しながら、広く災害ADRを利用してもらえるような体制を整備していきたいと考えています。

3 法務大臣の認証

当会の弁護士会ADRは、法務大臣の認証を得ています。この法務大臣の認証によって、①時効の完成猶予、②訴訟の中止、③調停前置の例外などの効果が与えられました。すなわち、①時効完成の直前でも安心して話し合いに取り組めるようになったほか、②訴訟が起こされている場合でもこの手続きでじっくりと話し合いに取り組めるようになり、また、③離婚や境界紛争についてはこの手続きが不成立になったあと、改めて裁判所での調停を行わなくても訴訟を提起できるようになりました。

さらに、今年度から特定和解の制度が開始し、一定の要件を満たす場合は、当会の弁護士会ADRで成立した和解に基づいて民事執行をすることができるようになりました。

4 障害者なんでもADR

平成29年8月からは、紛争解決センターにおいて、障害者差別事例を扱えるように体制を整備し、これを「障害者なんでもADR」と名付けました。具体的には、差別事例については、社会福祉士にも和解あっせん人や専門委員として関与してもらえることになりました。外出が難しい方などは弁護士が出張してADRを実施することもできます。令和3年9月には「第25回全国弁護士会ADRセンター連絡協議会」を和歌山で開催し、「障害者なんでもADR」をテーマにパネルディスカッション等を行いました。

5 リモートADR(ODR)

弁護士会ADRをより利用してもらいやすくするため、ウェブ会議システム又は電話を利用した期日の開催(リモートADR)ができるように、令和6年2月に規則を改正しました。

今年度(令和6年4月1日)から利用していただくことができます。

6 今後の課題など

今年度から開始した特定和解やリモートADRを市民の皆様に活用していただくため、マニュアルを改訂するなど体制を整え、また、周知活動にも取り組む予定です。

弁護士会ADRの利用方法など詳しいことは和歌山弁護士会ホームページ内の和歌山弁護士会紛争解決センターのページをご覧ください。