学校支援弁護士制度の創設に向けたワーキンググループ
座長 | 芝野 友樹 | 副座長 | 伊藤 あすみ 上岡 勇介 |
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1 ワーキンググループの設置目的
当ワーキンググループ(以下、「WG」といいます。)は、学校における弁護士支援制度の創設を目的として、その在り方についての検討を行うため、2020年7月に設置されました。WGメンバーは、子どもの権利委員会、民事介入暴力及び非弁護士活動対策委員会、法教育委員会に携わる会員を中心に構成されています。
いじめ・生徒間トラブル・保護者等からのハードクレームなど、学校現場で生じうる様々な問題に弁護士が法的に支援できる体制や、弁護士による授業支援、弁護士の講師派遣など、学校現場におけるあらゆる支援について、その在り方を検討することとしています。
2 授業支援、講師派遣
当会では、すでに法教育委員会が中心となって、ルール作りやネットトラブル、いじめ予防等のテーマに、児童・生徒を対象として講義への講師派遣を行っています。WGでは、これらの児童・生徒を対象とした講義にとどまらず、保護者や教員、学校関係者をも対象としたテーマを用意して、弁護士講師を派遣できる体制を整えて参ります。
また、「保護者からの過剰な要求等があった場合の対応について」「いじめ防止対策推進法などの法律に基づいたいじめへの適切な対応」「性暴力への対応」などのテーマを用意して、教員向け講演の案内を行うなどしました。引き続き、弁護士が、講師としてどのような支援ができるのか、検討して参ります。
3 相談支援体制
2019年1月、文部科学省は、「教育委員会・学校における法務相談体制の強化に関する調査」を実施しましたが、これにより、市町村教育委員会の多くは、首長部局が契約している顧問弁護士等に相談する例が多く、教育委員会が独自に契約している弁護士は必ずしも教育問題に明るくないため、「学校トラブルは初期対応が肝心なのにタイムラグが生じてしまう」「支援要請があったときにはすでに重篤な事案に発展しているものが多く、早い段階で弁護士に相談できることが重要」といった課題が明らかになりました。
これをふまえ、文部科学省は、2020年1月、「教育行政にかかる法務相談体制の充実について」と題する事務連絡を発出し、教育委員会に対し、弁護士に対し法務相談できる体制を構築することを急務として、体制整備を求めています。WGでは、2021年度、上記文部科学省の問題意識も踏まえたアンケートを県内の教育委員会、学校宛てに実施し、2022年度は、アンケートの結果をふまえて、弁護士(スクールロイヤー)が、学校現場における様々な場面に助言できる相談体制を構築できるよう、関係行政機関との協議を行いました。岩出市教育委員会において、試行的に学校向け法律相談を実施でき、好評を得ました。2023年度には、有田市教育委員会でスクールロイヤー制度が導入されており、広報委員会とも連携して、これらを紹介した学校支援だよりを発行しました。引き続き、関係行政機関との協議しながら、検討を進めて参ります。