声明・談話

死刑執行に抗議し、死刑執行の停止を求める会長声明

2025年(令和7年)9月12日
和歌山弁護士会
会長 岡 正人

令和7年6月27日、東京拘置所において、1名の死刑が執行された。

この死刑執行は、石破内閣が発足して初めての執行であり、令和4年7月26日以来である。

悲惨な犯罪の被害者・遺族にとって、決して許すことの出来ない加害者への厳罰の思いがあることはごく自然なことである。

しかし、悲惨な体験を余儀なくされた犯罪被害者や遺族に対する支援は、犯罪被害者支援の制度の改善・向上をさらに図るべき必要があることも自明のことである。

そして、今後悲惨な犯罪を起こす加害者が生じないように尽くすこともまた社会全体の責務と考えるべきである。

死刑は、人間の尊い生命を奪う不可逆的な刑罰であり、誤判の場合には取り返しのつかない刑罰であるという問題点を内包している。これは揺るぎもない事実である。

令和6年9月には、静岡地裁において、死刑囚であった袴田巌氏に対して再審無罪判決が言い渡されている。当会は、同月26日付けで、「「袴田事件」の再審無罪判決を受けて、改めて刑事再審法の速やかな改正を求める会長声明」を公表し、刑事訴訟法の再審に関する規定を改正することを求めたがいまだ改正されておらず、またこのような改正がなされたからといって、裁判が人の営みである以上、誤判・えん罪を完全になくすことはできない。

日本弁護士連合会においても、第59回人権擁護大会(平成28年10月7日)において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し、犯罪により生命を奪われた被害者遺族の支援拡充を求めると共に、刑罰制度が犯罪への応報にとどまらず、社会復帰に資するものでなければならないという観点から、死刑制度を含む刑罰制度全体の見直しを要請して来ているところである。

さらに、死刑廃止は国際的な趨勢であり、法律上及び事実上死刑を廃止している国は、145か国に上っている。こうした状況を受け、我が国は、国際人権(自由権)規約委員会、拷問禁止委員会や人権理事会から、死刑の廃止を前向きに検討するべきであること等の勧告を受けている。

そして、日本国内においても、令和5年11月13日、有職者からなる「日本の死刑制度について考える懇話会」が取りまとめた報告書によれば、「現行の日本の死刑制度とその現在の運用の在り方は、放置することの許されない数多くの問題を伴っており、現状のままに存続させてはならない」とされている。

それゆえ、今回の死刑執行は極めて遺憾である。

当会は、これまでの死刑執行に対しても強く抗議してきたところであるが、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、あらためて、政府及び法務大臣に対し、死刑に関する情報を広く社会に公開し、犯罪抑止効果や被害者遺族の思い・支援を含め、死刑制度の存廃について全国民的な議論を尽くして、死刑制度の廃止を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの間、死刑執行を停止することを求めるものである。