1 架空請求

Q.身に覚えのないインターネットサイトの利用料金の支払いを求める書面が届きました。身に覚えのない請求に対しては無視をするのが一番だと聞いたことがありますが、本当に何もせず放置しておいて大丈夫でしょうか。

A.まず、差出人を確認してください。もし、裁判所から届いた書類である場合にはそのまま放置すると不利益を受けるおそれがあるからです。
但し、悪質な業者が、裁判所からの通知であると装っている場合がありますので、書類に記載されている連絡先に直ぐに連絡するのは危険です(電話番号等の個人情報を把握されてしまうおそれがあります)。電話帳や最高裁判所のホームページ等で本当の裁判所の連絡先を確認し、自分に対する手続きが進められているのか、直接裁判所に問い合わせてみるのがよいでしょう。
本当の裁判所からの通知である場合には注意が必要です。
督促手続や少額訴訟などの裁判所の手続きを悪用した架空請求も数多く見受けられるからです。

Q.支払督促とは何ですか。

A.支払督促とは、裁判所書記官が債権者の提出した申立書だけを審査し、債務者の言い分を聞くことなく発せられるものです。

Q.支払督促が届いた場合、どうすればよいのですか。

A.届いたのが本当の支払督促であった場合、そのまま放置しておくと、架空の請求が法律上有効なものと認められてしまうおそれがあります。支払督促を受け取った日から2週間以内に、簡易裁判所に、異議を述べる手続きをとる必要がありますので、直ちに弁護士会までご相談下さい。

Q.少額訴訟とは何ですか。

A.少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り利用することが出来、1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする特別な訴訟手続です。

Q.少額訴訟を利用して利用料金の請求をされた場合、どうすればよいのですか。

A.本当の少額訴訟であった場合には、期日に先立って、裁判所と原告に自分の言い分を伝えるために答弁書という書面を提出する必要があります。答弁書を提出せず、また決められた最初の期日にも裁判所へ行かない場合、原告の言い分どおりの判決が出て、架空の請求が有効なものとなってしまうおそれがありますので、弁護士会にご相談下さい。

Q.利用料金の請求書は裁判所からのものではありませんでした。この場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

A.裁判所からの通知でない場合には、こちらから差出人に連絡する必要はありません。連絡すると、架空請求をしてきた相手に個人情報を把握されてしまうおそれがあります。身に覚えがないことを主張するために連絡することも望ましくありません。また、一度支払ってしまうと、関連業者からも請求されるおそれがありますので注意して下さい。