7 債務整理

整理さん:どうしたの?債務くん、浮かない表情だけど

債務くん:やあ整理さん。実は借金が増えてしまってこのままでは返せそうにないんだよ。
なんかいい方法はないかな?

整理さん:それなら、債務の整理をするのがいいんじゃないかな。

債務くん:債務の整理って、具体的には何をするの?

整理さん:一般的に債務の整理には、任意整理、自己破産、個人民事再生の3つの方法があるかな。

債務くん:その三つってそれぞれどう違うの?

整理さん:じゃあそれぞれの方法について順番に説明していくね。

債務くん:まず、任意整理って何なの?

整理さん:任意整理とは、弁護士を代理人として各債権者と話し合い、元金の減額や、分割回数・金額等で和解契約を締結してもらう手続きだよ。
また、返しすぎたお金がある場合、その分を返してもらう手続きもしてもらうよ。

債務くん:任意整理のメリットは何?

整理さん:残元本の将来金利がカットされることがあるよ。
うまくいけば払い過ぎたお金も返ってくることもあるよ。
任意整理をしたって資格制限や職業制限もないしね。

債務くん:任意整理のデメリットは?

整理さん:5年から7年くらい、いわゆるブラックリストに載るといわれているよ。(※1)
それにあくまでも交渉だから、強制的に債務を減額する訳じゃないし、強硬な債権者の場合解決までの時間がかかることもあるかな。

債務くん:次に自己破産って何なの?

整理さん:自己破産とは、お金を借り過ぎて債務が返済能力を上回った場合に、免責決定をもらい、借金を免除する制度だよ。
もし、不動産とか価値のある財産があった場合に、それを処分して債権者に弁済するよ。

債務くん:自己破産のメリットって何?

整理さん:免責決定を受ければ、借金がなくなることかな。

債務くん:じゃあ、逆にデメリットは?

整理さん:自己破産手続中は、一定の職業につけなくなるよ、また、いわゆるブラックリストに登録されて、7年から10年の間は新しい借入ができなくなるといわれているよ。

債務くん:でも、自己破産には抵抗があるなあ・・・。

整理さん:自己破産をしても、何かしらの制限が一生残るわけではないよ。
選挙権も被選挙権も失わないし、戸籍にも載らないよ。
自己破産しても、一定の財産は手元においておけるしね。

債務くん:へぇーっ、知らなかったなあ。
じゃあ、自己破産の申立てをすれば、借金は必ずなくなるの?

整理さん:そうじゃないんだ。
借金の原因が、ギャンブルや浪費等である場合や、財産隠しをしたとき等は、借金を免責してもらえないことがあるんだ。

債務くん:最後に個人民事再生って何なの?

整理さん:裁判所に一定の要件を満たした返済計画を提出して、認可を受ける制度だよ。
担保のついていない借金が5000万円以下で、将来にわたって安定した収入が見込める人の救済を図る手続きといえるかな。

債務くん:個人民事再生をするとどうなるの?

整理さん:概ね、債務の8割をカットしてもらって、その額を3年で返済することになるかな。 (※2)

債務くん:個人民事再生の特徴は?

整理さん:さっきも言ったみたいに借金が大幅にカットされるよ。
基本的には自己破産と違い、財産を処分しなくていいし。
ギャンブル等が原因で作った借金であっても、それが理由で個人民事再生ができないということはないんだ。
それに、まだ住宅ローンが残っていて、住宅に抵当権がついている場合でも「住宅ローン特別条項」を使えば今住んでいる家を手放さなくていい場合もあるよ。
でも、この場合には住宅ローンは今まで通り支払わないといけないことには注意をしておいてね。
それから、職業制限や資格制限はないよ。

債務くん:でも、原則3年で返済をしないといけないんだよね・・・。

整理さん:そうだね。原則3年で借金を返済できる場合にしか、この制度を使うことはできないね。
だから、この手続きを取るためには、それだけの金額を返すだけの安定した収入が必要になるんだよね。

債務くん:債務の整理って言ってもいろいろあるんだね。
で、ボクはどの方法はとったらいいのかな。

整理さん:そうだね。
借金や収入の状況によって色々だから債務くんも一度弁護士会に相談するのが一番だよ。
私の説明も、簡単に概要を説明しただけで、他にも細かい条件があるからね。

債務くん:ありがとう。整理さん。
よくわかったよ。じゃあ、一度弁護士会に相談してみるね。

(※1) 過払い金返還請求の場合は、ブラックリストに掲載されないことになりました。
今まで、ブラックリストに掲載されていても削除されることになりました。

(※2)但し、最低100万円を支払わなければなりません。