声明・談話

公安調査庁の違法な調査活動に抗議する会長声明

2007年(平成19年)9月28日
和歌山弁護士会
会長 中川 利彦

1.2007年6月8日、法務省の外局である公安調査庁関東公安調査局新潟公安調査事務所長ら3名が、同年6月23・24日に開催予定の青年法律家協会弁護士学者合同部会定時総会の参加者の宿泊場所となっていた新潟県佐渡市の佐渡グランドホテルを訪れ、同ホテルに宿泊する参加者の宿泊予定者名簿の提供を求めた。

2.ところで、公安調査庁の任務は、公安調査庁設置法第3条に定める「破壊活動防止法の規定による破壊的団体」及び「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定による無差別大量殺人行為を行った団体」についてのみその団体の規制に関する調査や処分の請求等を行うことである。

3.しかし、青年法律家協会は、憲法を擁護し、平和と民主主義を守ることを目的に設立され、多くの弁護士、学者が参加している団体であり、これまで破壊的団体或いは、無差別大量殺人行為を行った団体でもないことは明白であり、公安調査庁の前記行為は、法の定める前記公安調査庁の任務を逸脱した違法なものである。

4.また、公安調査庁の前記行為は、国家権力が普通に生活をしている市民の諸活動を日常的に監視し、調査しようとするもので、平穏な市民生活に対する不当な干渉であり、市民の自由な諸活動を萎縮させるものであって、日本国憲法が保障する国民の思想・良心の自由(憲法19条)並びに集会・結社・表現の自由(憲法第21条)の基本的人権を侵害する違憲な行為であり、決して許されないものである。

よって当会は、政府並びに公安調査庁に対し今回の行為について厳重に抗議をするとともに、今後再びこのような市民生活、市民活動に対する違憲・違法な行為が行われることのないよう適切な措置を強く求めるものである。