声明・談話

民法(家族法)改正の早期実現を求める会長声明

2010年(平成22年)3月25日
和歌山弁護士会
会長 月山 純典

 選択的夫婦別姓や非嫡出子の相続差別撤廃を盛り込んだ民法(家族法)改正は、1996年の法制審議会答申以来、現在に至るも法律改正が実現していない。

しかし、家族法改正はいまや喫緊の課題である。

現在の夫婦同姓制度のもと、96%の夫婦が夫の姓を選択するなど、現実には女性の多くが、改姓を余儀なくされ、職業上も生活上も様々な不利益を被っている。

しかし、姓が個人のアイデンティティの基盤であり、人格権の一内容を構成する(最判昭和63年2月16日)ことに鑑み、婚姻後も自己が永年使用してきた姓を継続して使用することは、法律上も保護されなければならない。

そもそも選択的別姓制度は、夫婦同姓を望む個人の権利に何らの影響を及ぼすものではないのであり、女性の社会進出が進む中、真の両性の平等と男女参画社会を実現する上で早急に実現しなければならない課題である。

また子が数人あるときに婚外子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定は、出生時に父母が婚姻しているか否かという本人の意思や努力によって変えることのできないものを身分として定めるものであって、憲法14条、憲法24条に明白に違反する。

最高裁においても、相続分差別を撤廃すべきであるという意見が度々述べられている。 更に民法上女性にのみ課される再婚禁止期間について、夫婦や家族のあり方の多様化に加え、科学技術の発達が目覚ましい今日、男女間に差をもうけるべき根拠は既に失われたというべきである。

国連においても、日本における家族法改正の遅れは度々問題視され、1993年以来、国連の各種委員会は日本政府に、家族法改正を勧告し続けていた。

特に2009年女性差別撤廃委員会は、家族法改正を最優先課題として指摘し、2年以内の書面による詳細な報告を求め、再度早期改正を行うよう厳しく勧告している。

よって、当会は、選択的夫婦別姓制度の導入を始め、家族法の差別的規定の改正が早急に国会に提案され、速やかに可決成立されることを強く求めるものである。