もし、あなたや家族、友人が逮捕されてしまったら・・・

1 はじめに

「逮捕」「起訴」「判決」・・・。 日常的に新聞・テレビ等でよく目にする、あるいは、耳に入る言葉です。 平和な日常生活の中では、こうした言葉は、他人事にすぎないでしょう。

けれども、あなた自身、あるいは、あなたの身の回りで、こうしたこ とが絶対に起こらないとは限りません。ある日、突然、あなたやあなた の家族、友人が警察に逮捕されてしまったら・・・・・。

普通の人は、気が動転してしまって、自分では何も考えられなくなっ てしまうでしょう。そうこうしているうちに、手続はどんどん進んでい ってしまい、あなたや家族・友人の権利が守られないまま、裁判になっ てしまう。

そうならないために、是非、このページを最後まで読んでください。

2 逮捕から裁判( 判決) までの刑事手続の流れは以下のとおりです。

逮捕
↓ ( 48 時間内) ⇒ 釈放される場合も
送検
↓ ( 24 時間内・逮捕から72 時間内) ⇒ 釈放される場合も
勾留請求・勾留
↓ 10 日間( +延長10 日間) ⇒ 釈放( 不起訴・処分保留)
起訴
↓ ⇒ 保釈される場合も
裁判

判決 ・有罪( 執行猶予⇒ 釈放、実刑⇒ 刑務所)・無罪( 釈放)

3 あなたや家族・友人が逮捕・勾留されてしまったら?

( 1 ) 警察や検察は、あなたが罪を犯したと疑っているから、逮捕するのです。当然追及は厳しくなります。こうした警察や検察の取調べに対し、あなたが「今の段階は、適当に答えていても、後で裁判になったら、裁判官はわかってくれる。」「警察や検察の話にあわせておけば、取調べを受けるのが楽になる。警察や検察もいいようにしてくれる。」などと考 えて、間違った対応やいい加減な対応をすると、後で取り返しがつかない結果を招く危険があります。裁判官は「やってもいないのに、自分か ら、素直に取調べに応じて、嘘の自白をするはずがない。」と考えてしまうのです。

( 2 )あなたが逮捕・勾留されて、身体を拘束されたら、捜査機関( 警察官)からは、必ず「弁護人を頼むことができる。」と告げられます。( 告げなければ法律違反です。)
そのとき、あなたは、弁護士の知り合いがいなくても、「弁護士を呼んでくれ。弁護を頼みたい。」と警察官や検察官に告げてください。これは、あなたに法律上認められた権利なのです。
そうすると、弁護士会を通じて、その日の「当番」として待機している弁護士が、すみやかに、あなたが身体を拘束されている警察署等まで、 面会( 接見)に駆け付け、あなたに認められている権利や今後の手続の 流れなどについて説明し、適切なアドバイスを行います。この1 回の面会(接見)は無料です。

警察官は「弁護士なんか呼んでも無駄だ。かえって長引くだけだ。お金もかかるぞ。」と言うかもしれません。
しかし、あなたは、少なくとも1 回は、無料で弁護士を呼べるのです。 とにかく、一度は弁護士を呼んで、相談することが大事です。
弁護士との面会には、警察官や検察官は立ち会うことはできず、また弁護士は守秘義務があるので、なんでも自由に相談することができます。
また、あなたの家族や友人が逮捕された場合も、弁護士会に連絡すれば、その日の当番の弁護士が警察署等に駆け付けます。( これらを「当番弁護士制度」といいます。
とにかく、逮捕・勾留で身体が拘束されたら、すぐに、警察官・検察官に「弁護士を呼んでくれ」と告げてください。

* 勾留された場合、資力がある方は私選弁護人を選任することができますし、資力が無くても被疑者国選弁護人の選任を請求することができます。勾留後の弁護人選任についても、詳しくは当番弁護士に直接お問い合わせください。

4 取調べをうけるときの心構えについて

( 1 )警察や検察は、あなたを「犯人」として厳しい追及をしてきます。それに対して、あなたはどうすればいいのでしょうか?

( 2 ) まず、あなたには黙秘権があります。つまり、あなたは、取調べに対し、ずっと黙っていることもできるし、言いたくないことは言わな くていいのです。これは、あらゆる法律の中で、一番上位にある憲法で保障された権利です。

( 3 ) 次に、警察官や検察官は、取調べに対し、あなたが言ったことを供述調書という形で、書面にします。書面を作成すると、あなたに対し、調書の内容を読み聞かせて、「間違いがなければ、署名・指印をして。」 と言ってきます。
このとき、供述調書の中身が、自分が言ったことと少しでも違っていたり、納得がいかないところがあれば、削除してもらうか、訂正してもらってください。これは、あなたに法律上認められた権利です。警察官や検察官が、それに応じない場合は、署名や指印を拒否してください。間違った内容の調書に、あなたが署名・指印してしまうと、裁判の際に、あなたが言ったことに間違いないものとして扱われてしまうのです。 拒否しても、あなたに不利益はありません。
警察官や検察官は、「拒否すると取調べが長引くぞ。裁判でも不利になるぞ。」と言ってくるかもしれませんが、あなたが署名・指印を拒むことで、警察や検察は、供述調書を証拠にすることができなくなります。それで、困るのは捜査機関の方なのです。

( 4 ) 弁護士があなたに面会すると、多くの場合、あなたに「被疑者ノート」という日記のようなものを差し入れます。このノートに、取調べの内容( 警察官や検察官が話したこと、あなたが話したことなど) をできるだけ詳しく書いてください。これが、後に、裁判になった場合に、あなたが、どういう状況で、どのような取調べをうけ、あなたが何を話したのか等を証明する重要な証拠になります。このノートは、あなたの身を守るノートなのです。

5 最後に

以上が、あなたや家族、友人が逮捕されてしまった場合についての説明です。万一、こうした事態が発生した場合は、すぐに、弁護士を呼ぶこと、これだけは忘れないでください。わからないことがあれば、和歌山弁護士会までご連絡ください。

刑事事件・少年事件についての弁護人紹介

「逮捕」 新聞では日常的に目にする言葉ですが、多くの場合は他人事でしょう。でも、絶対に身の回りでは起こらないとまでは言い切れません。ご自身やご家族がある日、突然、警察に逮捕されてしまったら、どうしたらよいのでしょうか。

和歌山弁護士会では、刑事事件・少年事件について弁護人を紹介する制度を運営しています。「逮捕なんて、何かの間違いだろう?」という場合でもお気軽にご相談下さい。

なお、逮捕・勾留まではされていないが、交通違反等で刑事事件の被告人となってしまい弁護士を紹介して欲しいという場合も和歌山弁護士会までご相談下さい。お申込みがあった日の当番弁護士を紹介させて頂きます。

和歌山弁護士会

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TEL:073-422-4580