声明・談話

司法修習生に対する給費制を1年延長する「裁判所法の一部を改正する法律」の成立にあたっての会長声明

2010年(平成22年)12月3日
和歌山弁護士会
会長 冨山 信彦

本年11月26日、司法修習生に対する貸与制の施行を延期する「裁判所法の一部を改正する法律」が国会で可決され、その結果、新第64期司法修習生に対して、従前と同様に修習費用の給費が実施されることとなった。

当会では、これまで、本年7月29日に街頭署名活動を行い、本年8月6日に市民集会を開催するなど、司法修習生に対し修習費用を支給する制度(給費制)が維持されるよう求め、運動を続けてきたところであり、今回の法改正は当会の求めに沿うものであって、国会の英断を歓迎したい。

また、当会の呼びかけにご理解いただき、署名などでご協力いただいた県民の皆様、報道等でご協力いただいたマスコミ各位、司法修習生に対する給費制の存続を求める意見書を可決いただいた和歌山県議会議員各位、裁判所法を改正いただいた国会議員各位、その他関係各位には、心から感謝を申し上げる。

今回の法改正は、今後一年間に限り給費制を延長するものであるが、その間に、「個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」とされ、「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること。」とされている(衆議院法務委員会附帯決議)。法曹(裁判官、検察官、弁護士)は国の予算を用いて養成すべき社会資源であるが、近時、法曹志望者は厳しい経済状況に置かれており、給費制が廃止されることによって、それらの者が経済的理由から法曹になることを断念するようなことは、あってはならない。

当会は、今後とも給費制が維持されることを求めるものであり、皆様のご理解とご支持をいただけるよう、引き続きこの運動に取り組む所存である。