声明・談話

市町村暴力団排除条例の早期制定を求める会長声明

2011年(平成23年)9月26日
和歌山弁護士会
会長 由良 登信

平成23年7月1日に和歌山県暴力団排除条例(以下「県条例」という。)が施行された。
 県条例は、暴力団による県の施設の使用不承認や、事業者による暴力団員への利益供与の禁止等、暴力団との関係遮断に関する規定がふんだんに設けられている。

 暴力団は、その構成員である暴力団員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行う団体であり、一般市民が、暴力団員から恐喝されたり、暴力団員同士の抗争事件の巻き添えになるなど、暴力団による被害を受ける事件は、今も後を絶たない。

 こうした暴力団による市民の被害を実効的に防止するためには、暴力団の活動資金源を根絶することが不可欠である。

 その一助として、全国各都道府県において暴力団排除条例が制定され、和歌山県においても県条例が制定・施行されたものである。

 県条例の施行直後である平成23年8月には、和歌山県が、県の所有地においてイベントを開催しようとしていた暴力団員に対し、県条例に基づく不許可通告を出した事例や、和歌山県警が、暴力団の儀式に民宿の客間を提供した県内の民宿経営者に対し、県条例に基づき暴力団への利益提供を今後行わないよう指導した事例が発生しており、早くも県条例の適用事例が出ており、県条例による暴力団排除の効果が生じてきている。

 しかしながら、上記県条例だけでは、市町村職員への不当な要求に対する措置、市町村の契約事務や市町村が運営する公共施設における暴力団排除などを十分に行うことができず、市町村との関連での暴力団排除が不十分である。

 従って、和歌山県下全体において、暴力団資金獲得活動を規制し、暴力団組織の弱体化を全うするためには、県条例の制定のみならず、和歌山県下の各市町村において暴力団排除条例が制定・施行される必要がある。

 しかし、現時点では、和歌山県下において暴力団排除条例が施行されたのは5市町村のみである。

 暴力団の資金獲得源の根絶を全うし、一般市民に対する暴力団被害を完全に防止するために、その余の市町村においても、速やかに暴力団排除条例を制定・施行されるよう、求める次第である。