声明・談話

特定秘密保護法の抜本的改正を求める会長声明

2014年(平成26年)1月15日
和歌山弁護士会
会長 田中 祥博

当会は、平成25年11月13日に「特定秘密保護法案に反対する会長声明」を出し、その中で、①同法案が行政機関の長に委ねている秘密指定権の範囲が広範かつ不明確で、公正な第三者機関による事前審査もなく、国民の知る権利の侵害となるおそれがあること、②特定秘密を扱う者による漏えいだけではなく、「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」により特定秘密を取得した者及び取得行為の教唆、共謀、煽動行為も独立して処罰することにより、メディアの取材活動等に萎縮効果を与えること、③適性評価制度が、特定秘密を取り扱わせようとする者のみならず、その家族など多くの国民のプライバシー侵害をもたらす危険があること、④指定された秘密が原則として国会にも提供されないことから議会制民主主義が空洞化するなどの多くの問題があることを指摘して、その成立に強く反対した。  

平成25年12月6日に強行採決されて成立した特定秘密保護法は、衆議院で一応の修正が加えられてはいるものの、上記会長声明で指摘した知る権利、取材・報道の自由、プライバシー及び議会制民主主義の空洞化について、問題点・危険性を有することは本質的に何ら変わっていない。

そこで、当会は、国会及び政府に対し、同法の施行までの間に、同法の附則9条に規定する「特定秘密の指定及び解除の適正を確保するための必要な方策」として、政府から独立した公正な機関の設置、同附則10条の定める国権の最高機関である国会への特定秘密の提供に関し、国会自らによる運用規則の制定のほか、第7章の罰則規定から独立罪としての教唆・共謀行為等を削除するなどの措置を講じることを強く求めるとともに、これらの措置が整備されるまで施行を延期するよう求めるものである。