声明・談話

民事司法改革に関する日弁連と最高裁との協議に対する会長声明

2016年(平成28年)5月13日
和歌山弁護士会
会長 藤井 幹雄

日本弁護士連合会は,2016年(平成28年)1月18日,民事司法改革に関する最高裁判所との協議結果を公表した。

今回の協議では,労働審判を実施する裁判所支部が拡大され,一部の裁判官非常駐支部及び家庭裁判所出張所において運用の改善が図られることとなったものの,裁判所支部の新設・復活は見送られた。

司法アクセスの障害を除去し,市民の裁判を受ける権利を真に保障するという観点からすれば,裁判所支部の新設・復活は,地域司法の基盤整備において根幹をなすものである。そこで,当会は,かねてより県北東部の伊都・橋本地域への裁判所支部の新設及び和歌山家庭裁判所妙寺出張所の活性化を訴えてきた。昨年度には「伊都橋本地域における地家裁支部設置推進本部」を設置し,その取組みを強化しているところであり,今回の協議において,これらの点が実現に至らなかったことについて遺憾である。

また,近時の和歌山家庭裁判所妙寺出張所における調停期日の実施回数や審判受付件数が増加していることに鑑みれば,現在月1回のみの調停期日を増加させるとともに,審判事件も受付だけではなく実施もできるよう早期に運用の改善が図られるべきである。

当会は,日本弁護士連合会と最高裁判所との間で,裁判所の支部新設・復活を中心に地域司法の基盤整備の更なる拡充に向けて,今後も真摯な協議が行われることを切に望むとともに,伊都・橋本地域の住民や自治体とも連携しながら,市民にとってより身近で利用しやすい司法の実現のために積極的に取り組む所存である。