声明・談話

いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の成立に反対する会長声明

2017年(平成29年)5月29日
和歌山弁護士会
会長 畑 純一

いわゆる共謀罪の創設を含む組織犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)は、本年5月19日に衆議院法務委員会で、同月23日には衆議院本会議で、それぞれ採決のうえ、参議院に送付された。

当会は、本法案の国会提出に先立ち、共謀罪を創設する法案については、日本国憲法が保障した国民の思想信条の自由など基本的人権に対する重大な脅威となるものであり、人の内心の自由を処罰することになりかねず、国会への提出に反対する会長声明を発した。

当会が前記会長声明で指摘した本法案の問題点は、衆議院での審議で浮き彫りになった。

即ち、第1に、処罰対象はテロ集団や暴力団関係者だけではなく、国民一般に適用されるおそれがあり、「計画」「準備行為」の定義、内容が不明確であるため、何が処罰されるのかあいまいであること、第2に、277といわれる対象犯罪の中には組織犯罪やテロ犯罪とは無関係の犯罪が含まれていること、第3に、捜査のため日常的に市民の監視が行われ、国民のプライバシーが日常的に侵害される社会となるおそれがある、ということである。

このような本質的な問題が解消されないままでは、本法案は国民の基本的人権に対する重大な脅威となりうるものであるから、当会は、あらためて、本法案の成立に反対する。