声明・談話

ロシアによるウクライナ侵攻を非難し、即時撤退等を求める会長談話

2022年(令和4年)3月3日
和歌山弁護士会
会長 田邊 和喜

2022年2月24日、ロシアはウクライナに対して武力侵攻を開始し、今なお継続しています。侵攻はウクライナの広範囲に及ぶ大規模なものとなっており、多くの市民の命が奪われ、生存や暮らしが著しく脅かされています。また、ロシアのプーチン大統領が、核戦力を意味するとみられる「抑止力を特別態勢にする」よう軍に命令した旨の報道もなされています。

ロシアによるウクライナへの武力侵攻は、武力行使を禁止している国連憲章及び国際法に明確に違反しています。

戦争は最大の人権侵害であることから、第二次世界大戦の惨禍を踏まえ、国際社会は国連憲章で武力不行使原則を定めました。武力の行使が悲惨な犠牲を生むことは歴史の教訓であり、ロシアによる武力侵攻は歴史を逆行させるものであって、到底、容認することはできません。

また、核兵器の使用が壊滅的な破壊と非人道的な被害をもたらすことは、唯一の戦争被爆国である我が国の例をみても明らかであって、万が一にも核兵器が使用されるようなことがあってはなりません。

弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とするものであり、今般のロシアの暴挙を見過ごすことはできません。

当会は、日本国憲法が前文において、全世界の国民が平和的生存権を有すること及び、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないとしていることに鑑み、平和を愛し自由と民主主義を信奉する国際社会と連携し、ロシアに対して厳しい措置を迅速に断行した我が国政府の対応を高く評価するとともに、平和的解決に向けたなお一層の努力を求めます。また、ロシアに対し、ウクライナへの武力侵攻を強く非難し、核兵器の不使用とウクライナからの即時撤退を求めます。

なお、国家の行為の是非善悪と、当該国家に属する国民のそれとは、峻別されるべきです。今般のロシアの行為によって、我が国に在留するロシア国民が不当な差別を受けることのないよう、ひろく国民の皆様に呼びかけます。